設立総会 概要

日本臨床教育学会設立総会を開く

2011年3月19日(土)、武庫川女子大学を会場に設立総会を開催いたしました。

東北・関東大震災が起こったなかで、東北や関東から「参加したいができなくなった」という連絡が入り、開催についてぎりぎりまで検討しました。予定通り学会を立ち上げ、大勢の人々が、また教師、保育士、カウンセラー、看護や福祉など多様な発達援助者が、協同してこの震災の課題に取り組むことが、学会の活動として望ましいと判断して、設立総会を開催いたしました。

田中孝彦準備会代表は、「日本の臨床教育学のこれまでとこれから~準備委員会の一員として~」の報告の中で、臨床教育学の歩みをふり返り、次の点を臨床教育学会の課題としました。

第1に、臨床教育学は子どもたち、親・教師たちの苦悩の意味を理解しようとする「当事者学」というべき性格をもつ。したがって、研究のベースに、生存・発達・学習の当事者である子どもたち自身の生活史と生活実感の表現・語りを徹底的に聴くことがすえられるべきである。

第2に、子どもの語りに耳を傾けることは、聴き取ろうとするおとなたちにとっても「人間教育」を受ける機会となってきた。「子ども理解のカンファレンス」と名づけてきたが、社会崩壊・地域崩壊の進行の果てに、地域住民、親・保護者、援助・教育の専門家・研究者から「子ども理解のカンファレンス」が多様な形で生み出されてきた。それらが深められ共有されていく過程を支える研究が必要とされている。

第3に、発達援助職としての教師やその他の専門職の「専門性」をとらえ直しと、養成・教育の具体的展開を考えること。

第4に、各領域の研究史をふり返り、領域を超えて重要とされる「古典」を選び出し、私たちに必要な「母概念」と呼べる根本的な概念をエラボレイトしていく理論史的な共同研究を積み重ねていくこと。

第5に、多様な地域学会・研究グループ、さらに同じような実践・研究の動きを始めている世界の動きと交流し、そこに蓄えられている経験と知恵を確かめ栄養としていくような学会となるべきこと。

糸魚川武庫川女子大学学長から歓迎のことば

大震災が起こりましたが、臨床教育学会を設立することには大きな意味があると思います。臨床とは「その場に及んで」、「現場にあって」というものでしょう。
自然の現象をコントロールできると思っていたのに、それは非常に困難でありました。
教育も同じで、失われた尊い命や、心とからだに傷を負い生存の限界におられる人々から、私たちは多くのことを教えられています。
教育とは、教える―教えられるという相互の立場が入り交じっているものだと思います。相互の関係ではなく、両者が理想をめざしていくものでもありましょう。

多くの人々がこの学会に期待をしています。ご活躍を祈念いたします。

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